JAM SESSIONという店の歩み
まぁライブハウスをやっているくらいだから、店主の私も元々は音楽をやっていたのです。
中学生の頃にエレキギターを弾き始め、中学高校とジャパメタが好きでした。
そういう時代だったのです(笑)。
大学を中退して音楽学校に通い、20代後半でハコバンでの演奏という仕事を得ましたが、収入的にかなりきつかったので、「音楽で食う」という道を諦めました。
今後音楽活動はアマチュアで、と決めた30代は、人々を集めて社会人向け音楽サークルをやったり、音楽イベントをやったりしていました。
人を集めるのが、好きだったんですね。
で、ある音楽仲間がライブバーを始めて、それに憧れて自分もいつかは店を持ちたいと思って数年を過ごしていたのですが、41歳の時に渋谷のとあるライブバーの雇われ店長になりました。
そこからの独立ということで、2013年7月に、今のJAM SSSIONを開業しました。
と、開業までの流れをザックリと…。
店を開業した当初は、ただ単にライブハウス事業をやりたかっただけなんですね。
音楽やっている人って、いつかは自分でライブハウスをやりたいって思っている人が結構多いと思います。
実際にライブハウスをやっている人って、みんなそんな流れの憧れからやっていますよね。
私も、単にやりたいっていう憧れでやり始めただけです。
ほとんどのライブハウス経営者がそうだと思うんですが、あまり先のことも考えずに、楽しくやりたい仕事をやっていければいい、くらいな感覚でした。
先の展望も、戦略も、野心もなしで…。
そもそもライブハウスが儲かるなんて話は聞いたことがないので、お金のことも気にしてなかったし、ほぼノープランですよ。
でも、そんなんだと、家族を養っていけないんですよね。
もう、ギリギリの生活でした。
開業して数年は、運が良かったから潰れずに済んだ、くらいな話だったと思います。
お金がないので、家族にはあまりいい思いをさせてあげられなくて…。
で、ここは家族に贅沢のひとつでもさせてやろうなんて思って、2018年にお弁当配達事業のフランチャイズ参加したんです。
お弁当はめちゃくちゃ売れて忙しかったんですが、価格を自分たちで決められないというフランチャイズの宿命で、売れば売るほど赤字膨らむという逆ざや状態でした。
都心はお弁当業者がひしめいていてまとまった数は売れないし、人件費は高いしで…。
数は自体は、売れるんですよ。
でも、まとまってないから配達の効率がものすごく悪くて、それが赤字の一番の原因でした。
そこで数百万円の借金を作って、敗退です。
明け方から働いて、夜のライブハウスもやって、土日はお弁当の仕事はないけどライブハウスだからむしろイベントで忙しいしで、毎日睡眠時間4時間、寝不足のまま痩せていく、みたいな、地獄の数ヶ月間でした。
家族のために、なんて思って私が身を削って頑張っていた頃、元妻は外で男と楽しくやっていて、その後離婚とか…。
もう、ドン底でしたね。
あんなに惨めなことは、後にも先にもないです。
そして、事業に失敗してヤバい、っていうんで、一念発起してビジネスの勉強を本格的に始めたんです。
本も100冊くらい読んだし、、先生についてセミナーにも色々参加して…。
とにかく必死でしたね。
事業を伸ばさないと、借金も返せないですから。
ということで1年くらい猛勉強して考えて考えて悶え苦しんで、やっとビジネスがわかりかけてきて…。
これなら事業を伸ばせるかも、とか希望の光が見えてきたんですが、そこから半年くらい過ぎたら今度はコロナ禍に突入ですよ。
まぁコロナ禍ではお上からお金が出たので、飢えはしのげましたからよかったです。
そして幸いにも店の営業ができないから時間があまり、その間もずっとビジネスの勉強をしていましたね。
逆に勉強のために時間を裂けたことが、コロナ禍はある意味で天からの恵みだったと思っています。
2018年夏にお弁当で失敗してから2022年春にまた営業を通常通りに再開できるまでに、4年弱勉強を続けたことになります。
その間の勉強の蓄積を持って、今は実践に移しています。
もちろん今も勉強は続いていますし、日々発見があります。
が、世の中はそんなに甘くはないんですね。
コロナ禍は明けても、売り上げはそう簡単には回復しません。
稼働率も売り上げも、かつての6割くらいです。
非常に苦しい状況が、続いています。
とはいえ、これまで勉強してきたことは決して無駄ではなかったと思います。
ほんの少しではありますが、やってみて効果を実感できることもあります。
もし勉強をしていなかったら、この6割という数字すらなかったかも知れません。
支払いが間に合わない苦しさと、勉強の成果の兆しとの間で、揺れ動いている現在です。
2023年1月現在で「今年こそは何とかなりそうだ」「今年こそは何とかしてやる」って思っていますが、これ、毎年思っているから、今年も大したことないんでしょうか…(苦笑)。