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ベースの低音問題 

 

ベーシストの人と話をして、わかったことがありました。
そのことを踏まえてここで語ることによって、少しでも皆さんの音作りの参考になれば、と思います。

 

ベーシストって、その音作りにおいて低音を上げたがる人がいるんですが、その原因は「下手を誤魔化すため」だと思っていました。

 

ベースラインがよく聞こえる”美味しい”帯域、っていうのがあるんですが、それは大体400kHzあたりです(もちろん音のプロからすると異論もあるとは思いますが)。
この400kHz辺りがよく出ていると、ベースが何を弾いているのかよくわかるんです。
その帯域がよく出ていると、客席で聴いている方にも一緒にステージに上がっている他の演奏者にも、曲の進行がよくわかるし、ベーシスト的にも存在感を示せる美味しい感じにできます。

だから、その帯域をちゃんと聴かせる音作りをするべきなんですね、本来は。

 

ジャズフュージョン系、黒系で、ベースソロをバリバリやる様なベーシストさんは、自分のベースソロをちゃんと聴いて欲しいから、まさにそこが聴こえる様な音作りをします。
HEATKEのベースアンプなんか、そこら辺の音作りがし易いです。
美味しい帯域を出し易いアンプ、なんですね。

でも、片や、そこら辺の帯域を削りたがるベーシストさんがいるんです。
特にロック系…。

 

これを書いている店主は、まさにゴリゴリのロック系バンドマンでした。
それを踏まえて、の話です。
ロックのことをバカにしてないですよ、ということです。

 

中高生の頃にバンド組む、ってなったら、集まった奴らはみんなギタリストで(笑)、上手い奴はそのままギタリスト、下手な奴はベースかドラムに転向させられる、って、ありましたよね。

それが尾を弾いているんですよ、というのが、私の説。

 

ギターが下手だったからベースに転向っていう人は、ベースも比較的そのまま下手だったりする傾向があると思うんですよ。
一事が万事、ってあるじゃないですか。

中にはその後ベースの魅力に取り憑かれて上手くなり、黒系の音楽にも手を出して、ってなこともあるとは思うんです。
そういう人なら、また話が別です。

でも、ロックしかできないとかいうベーシストさんて、大体前述の感じの、いつまで経ってもそんなに上手くならない人だったりする傾向ってあると思うんですね。

 

だから、そういう人って自分の下手を誤魔化すためベースラインがよく聴こえる帯域を削って、逆に何を弾いているかよく聴こえない低音ばかり上げるよなぁって、よく感じているんです。
店主は店でライブのPAオペレートやってますから、かなり多くのプレイヤーさんの演奏を聴いていますけど、実際に低音ばっかり上げているベーシストさんって、全然リズムが合ってなかったり間違えまくったりしている人が本当に多いんですよ。

 

でもとあるベーシストさんと話をしたら、音作りの時に「腹にズドンとくる感じがいい」ということで、低音を出したいと言っていました。
そっか、下手を誤魔化すばかりではなく、ベーシストさんてそういう願望があるかもね…。

 

多分「腹にズドンとくる」っていうのは、100kHzよりも下の帯域を上げるってことだとは思うんですけど、そこが問題だったりします。

前述した通り、ベースラインがよく聴こえる美味しい帯域は400kHz辺りです。
それに対して100kHz以下っていうのは、可聴域の結構下の方で、正直、聴いていても何弾いているかよくわからないんです。
腹にズドンとはくるかもしれないけど、音程も感じづらいし、それこそ上手いのか下手なのかもわかりづらいし、曲の進行も感じられない、「要らない」帯域なんですね。

でも、ズンズン鳴っていて音圧ばかりデカいんです。
この「音圧ばかりデカい」というのが、とても問題なんですよ。

 

人間の耳って、音圧とか音量とかの感じ方を、自動的に調整する様にできているんですね。
デカい音が鳴ると、感覚を守るために、全体的に音を感じづらくする様に瞬間的に調整してくれるんです。

音がめちゃくちゃデカい時と、ささやく様な小さな音を聞き取ろうとする時と、人間の感覚の鋭さは、全然違います。
音がデカい時は、あえて感覚を鈍くすることで、耳や感覚を守ってくれるんですね。

つまり、聞こえもしない帯域でも音圧がデカければ、耳は感覚を鈍くしてくれるんです。

そうすると、他の帯域の音も、聴こえづらくなる…。
低音ばかりデカいと、ズンズン鳴っているけど、何を演奏しているか全体的にわからない、となるんですね。

 

だから、聴こえない帯域なんて、絞っていいんです。
聴こえもしない帯域を爆音にするメリットなんて、何もないんです。
「腹にズドンと来る」音作りは、聴こえさせるという意味においては全く意味がないんです。
あなたの自己満足は聴衆には関係なく、むしろ、聴くことの邪魔をしているんです。

 

ということなどをおわかりいただけると、ベースの音作りのことがお分かりいただけるものと思います。

 

ちなみにベースアンプのイコライジングが「Lo」「Mid」「Hi」とか、「Bass」「Mid」「Treble」とかの場合は、「Lo」とか「Bass」とかを絞って、「Mid」を上げましょう、ということです。
「Hi」とか「Treble」とかというのはパキパキする領域なので、スラップでもやらない限りはそんなに調整はシビアじゃなくていいと思います。
まるっきり切っちゃっても、あまり影響ないことも多いと思います。
もちろんアンプによる、その他の機材との相性による、んですけどね。

 

そしてうちの店、小さくてしょぼい店だと思われていますけど、いろんなプロの人もライブをやってくれているんですね。
その人たちは、全然100kHz以下の帯域なんて上げようとしません。

世界的なメタルバンド「ラウ○ネス」のベーシストである山○さんも、うちでは100kHz以下なんて上げていませんでしたよ。
ちゃんとベースラインの聴こえる、美味しい帯域での音作りをしていました。

 

印象としては、音作りがよくわかっていないベーシストさん、演奏が下手なベーシストさんが、低音を上げたがる傾向がある、ということです。
と書くと、お怒りの方もいるのでしょうね(笑)。

あとは、ネット上でもいろんな人がベースの音作りを語っていますが、店主とは意見が違うという人もたくさんいます。
ので、参考程度に!